万が一原子力災害が起きたときは、UPZにおいてまずは屋内退避を行います。屋内退避は、被ばくを減少させることができる初動時の有効な防護措置です。
避難による危険を避ける効果
平成23年3月の福島第一原子力発電所事故が発生した際、病院や介護老人保健施設などでは、避難手段や避難先の確保に時間がかかり、避難の過程で病状が悪化、又は死亡する事例が続出し、3月末までに少なくとも60人の犠牲者を出しました。(国会事故調査報告書)
このことを教訓の一つとして、原子力規制委員会が策定する原子力災害対策指針では、避難よりも屋内退避を優先することが必要な場合があること、放出源から比較的離れた区域(UPZ)ではまずは屋内退避を実施すること等が取り入れられています。
被ばくの影響を低減させる効果
建物の壁や屋根には、原子力発電所の事故により外に放出された放射性物質からの放射線被ばくの影響を低減させる効果があります。
(建物の気密性による効果)
- 建物が屋内への放射性物質の放射性物質の入り込みを防止し、放射性物質の吸い込みによる「内部被ばく」を低減させる効果。
(建物の遮へいによる効果)
- 建物が屋外の放射性物質からの放射線をさえぎることで「外部被ばく」を低減させる効果。
原子力規制委員会が作成した「緊急時の被ばく線量及び防護措置の効果の試算について(平成26年5月28日)」によれば、屋内退避を行うことで、木造家屋では吸入による内部被ばくを75%(コンクリート造りの建物では95%)低減することができます。また、地表面等に沈着した放射性物質からの外部被ばくを木造家屋では60%(コンクリート造りの建物では80%)、放射性プルームからの外部被ばくを10%(コンクリート造りの建物では40%)低減することができます。
参考
内閣府の資料(「原子力災害発生時の防護措置について[暫定版](令和2年3月)」)によれば、屋外滞在時の被ばく線量を1.0とした場合、木造家屋では屋内退避による被ばく線量が0.5となることが記載されています。これは暫定値であるとともに、放射線防護対策施設(1,300m
2の平屋、学校体育館サイズ)を対象としたもので、一般の木造家屋を対象としておらず、一般の木造家屋については今後の研究が必要とされています。
鳥取県では、原子力災害時における県民の方の安全確保を第一に、今後も最新の科学的知見を取り入れていきます。
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