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島根原子力発電所に係る鳥取県民の安全確保等に関する協定

本文

 鳥取県(以下「甲」という。)、米子市(以下「乙」という。)、境港市(以下「丙」という。)及び中国電力株式会社(以下「丁」という。)は、丁が設置する島根原子力発電所(以下「発電所」という。)に係る鳥取県民(以下「県民」という。)の安全確保及び環境の保全を図ることを目的として次のとおり協定を締結する。
 甲、乙、丙及び丁は、鳥取県内を含む周辺地域住民の安全確保がすべてに優先するものであることを確認し、この協定を誠実に履行するものとする。
(安全確保等の責務)
第1条 丁は、発電所から放出される放射性物質に対する県民の安全確保及び周辺環境の保全を図るため、関係法令等の遵守はもとより、発電所の建設及び運転・保守(以下「運転等」という。)に万全の措置を講ずるものとする。
2 丁は、発電所の安全性及び信頼性のより一層の向上を図るため、請負企業等を含めた品質保証活動を積極的に行うとともに、原子炉施設の高経年化対策の充実を図るものとする。
3 丁は、放射線防護上の管理を徹底するとともに、施設の改善等を積極的に行うものとする。
4 丁は、原子力に関する安全文化醸成に向けた活動を継続的に行うものとする。
(情報の公開)
第2条 甲、乙、丙及び丁は、原子力の安全性に関する情報の公開に積極的に努めるものとする。
(放射性廃棄物の放出管理)
第3条 丁は、発電所から放出される気体状及び液体状の放射性廃棄物に起因する発電所周辺地域の住民の線量が原子力安全委員会の定める線量目標値を確実に下回るよう、放射性廃棄物の放出を管理するものとする。
(核燃料物質等の保管管理)
第4条 丁は、核燃料物質、放射性固体廃棄物等の放射性物質の保管及び管理に当たっては、関係法令等に定める必要な措置を講ずるほか、更に安全確保に努めるものとする。
2 丁は、放射性固体廃棄物の発生量の低減に努めるものとする。
(環境放射線等の測定)
第5条 甲、乙、丙及び丁は、発電所に隣接する鳥取県内の環境放射線に関する測定を行うものとし、この測定は、甲が定める計画に基づくものとする。
2 乙、丙及び丁は、前項による計画の策定又は変更について意見を述べることができるものとする。
3 甲、乙及び丙は、必要と認めた場合は、丁が行う測定について、甲、乙及び丙の職員を立ち会わせることができるものとする。
4 甲は、測定結果を公表するものとする。
(計画等の報告)
第6条 丁は、次の各号に掲げる事項について、甲、乙及び丙に別に定めるところにより報告するものとする。
(1) 発電所の増設(既存の設備の出力増加を含む。)に伴う土地の利用計画、冷却水の取排水計画及び建設計画
(2) 原子炉施設(核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律(昭和32年法律第166号)に基づく実用発電用原子炉の設置、運転等に関する規則(昭和53年通商産業省令第77号)第2条第1項第2号に規定する施設をいう。)の重要な変更
(3) 原子炉の解体
2 甲、乙、丙及び丁は、前項に定める報告について相互に意見を述べることができるものとする。
(核燃料物質等の輸送計画に対する事前連絡)
第7条 丁は、甲、乙及び丙に対し、新燃料、使用済燃料及び放射性廃棄物の輸送計画並びにその輸送に係る安全対策について、事前に連絡するものとする。
(平常時における連絡)
第8条 丁は、甲、乙及び丙に対し、次の各号に掲げる事項について、定期的に又はその都度遅滞なく連絡するものとする。
(1) 発電所建設工事(原子炉施設及びこれに関連する主要な施設を含む。)の計画及び進捗状況
(2) 発電所の運転(試運転を含む。)計画及び運転状況
(3) 放射性廃棄物の放出及び管理状況
(4) 発電所の定期検査の実施計画及びその結果
(5) 環境放射線の測定結果
(6) 温排水等の調査結果
(7) 品質保証活動の実施状況
(8) 高経年化対策の計画及び実施状況
(9) その他必要と認められる事項
2 丁は、発電出力などの発電所情報を甲が設置する環境放射線情報システムへ常時提供するものとする。
(保安規定における運転上の制限を満足しない場合の連絡)
第9条 丁は、島根原子力発電所原子炉施設保安規定に定める運転上の制限を満足していないと判断した場合は、速やかな復旧に努めるとともに、速やかに甲、乙及び丙に連絡するものとする。
(異常時における連絡)
第10条 丁は、甲、乙及び丙に対し、次の各号に掲げる事項について発生時に連絡するものとする。
 (1) 原子炉施設等の故障関係
1)原子炉施設等の故障があったとき。
2)安全関係設備について、その機能に支障を生じる不調を発見したとき。
3)原子炉の運転中に計画外の停止もしくは出力変化が生じたとき、又は計画外の停止もしくは出力変化が必要となったとき。
4)原子炉の構造上又は管理上に欠陥を生じ運転を停止しなければならないおそれがあるとき。
(2) 放射性物質の漏えい関係
1)放射性物質が管理区域外で漏えいしたとき。
2)放射性物質が管理区域内で漏えいし、人の立入制限、かぎの管理等の措置を講じたとき、又は漏えいした物が管理区域外に広がったとき。
(3) 放射線被ばく関係
1)放射線業務従事者の被ばくが法令に定める線量限度を超えたとき。
2)線量限度以下の被ばくであっても被ばくを受けた者に対して特別の措置を行ったとき。
(4) その他
1)核燃料物質の盗取又は所在不明が生じたとき。
2)放射性物質の輸送中に事故が発生したとき。
3)発電所敷地内において火災が発生したとき。
4)島根原子力発電所原子炉施設保安規定に定める緊急時体制を発令したとき。
5)発電所敷地内で測定した放射線が別に定める通報基準値に該当したとき。
6)その他、国への報告義務がある事態が発生したとき。
2 甲、乙及び丙は、丁に対し、前項各号に定める事態が発生し、必要と認めた場合は、放射線及び温排水等の測定結果等の提出を求めることができる。
(現地確認)
第11条 甲、乙及び丙は、発電所周辺の安全を確保するため必要があると認める場合は、丁に対し報告を求め、又は甲、乙及び丙の職員を発電所に現地確認させることができるものとする。
2 丁は、前項の現地確認に協力するものとする。
3 甲、乙、丙及び丁は、第1項に定める現地確認において相互に意見を述べることができるものとする。
(教育訓練)
第12条 丁は、発電所の運転等に当たっては、人に起因する事故等の防止等の安全管理に資するため、社員に対する教育訓練の徹底を図るものとする。
2 丁は、発電所の運転等に関する業務の一部を他に委託するときは、受託者に対して安全管理上の教育訓練の徹底を指導するとともに、受託者が行う教育訓練に対し、十分な指導監督を行うものとする。
(防災対策)
第13条 丁は、原子力事業者防災業務計画(原子力災害対策特別措置法(平成11年法律第156号)第7条第1項に基づき策定した計画)に定める防災対策の充実強化を図るとともに、甲、乙及び丙が実施する地域の原子力防災対策に積極的に協力するものとする。
(公衆への広報)
第14条 丁が発電所の異常な事態に関して公衆に特別の広報を行う場合は、甲、乙及び丙に対して事前に連絡するものとする。
(連絡の方法)
第15条 丁は、甲、乙及び丙に対し、次の各号に定めるところにより連絡するものとする。
(1) 第7条及び第8条に掲げる事項については、文書をもって連絡するものとする。
(2) 第9条、第10条及び前条に掲げる事項については、速やかに電話及びファクシミリ装置で連絡した後、文書をもって連絡するものとする。
(連絡責任者)
第16条 甲、乙、丙及び丁は、連絡を円滑に処理できるようあらかじめ連絡責任者を定めるものとする。
(損害の補償)
第17条 発電所の運転等に起因して、県民に損害を与えた場合は、丁は誠意をもって補償に当たるものとする。
2 発電所の運転等に起因して、県民に損害を与えた場合において、明らかに風評により農林水産物の価格低下、営業上の損失等の経済的損失が発生したと認められるときは、丁は、その損失に対し誠意をもって補償その他の最善の措置を講ずるものとする。
(諸調査への協力)
第18条 丁は、甲、乙又は丙が実施する安全確保対策についての諸調査に協力するものとする。
(協定の改定)
第19条 この協定に定める事項につき、国の原子力防災対策見直しのほか改定すべき事由が生じたときは、甲、乙、丙及び丁は、いずれからもその改定を申し出ることができる。この場合において、甲、乙、丙及び丁は、誠意をもって協議するものとする。
(運用)
第20条 この協定の実施に必要な細目については、甲、乙、丙及び丁が協議の上、別に定めるものとする。
2 甲、乙、丙及び丁は、第5条第2項、第6条第2項及び第11条第3項の規定による意見があった場合並びにこの協定の運用において、甲、乙、丙又は丁のいずれかから意見があった場合は、相互に誠意をもって対応するものとする。
3 甲、乙及び丙は、第8条第1項、第9条又は第10条についての連絡又は提出を受けたときは、必要に応じ、関係自治体及び防災関係機関へ連絡するものとする。
(その他)
第21条 この協定に定めた事項について疑義を生じたとき、又は定めのない事項については、甲、乙、丙及び丁が協議して定めるものとする。

この協定締結の証として、本書4通を作成し、甲、乙、丙及び丁それぞれ1通を保有するものとする。

協定電子ファイル